鉛バッテリーから変更したい!キャンピングカー向けリチウムイオンバッテリー9選
キャンピングカーの車内電装品の充実化が進み、要求されるバッテリーの容量も大きくなってきた。キャンピングカーメーカー各社もそれぞれ独自のバッテリーシステムを構築している。ここでは人気の大容量タイプや便利なセット商品を紹介していく。
リチウムイオンバッテリーのどこがメリット?
1年の半分をTシャツで過ごすような日本では、キャンピングカーのクーラーやエアコン搭載がマストになりつつある。そして外部電源無しでクーラーを使いたいなら大容量のバッテリーもまたマスト、ここまではもうほぼ既定路線と言って良いだろう。キャンピングカーの新型ではエアコンを標準装備にするかオプションにするかが販売戦略上の重要な要素となりつつあるし、搭載の設定がなかった既存のラインナップにも続々とクーラーの設定を新設している。
同じ容量ならサイズは鉛バッテリーより最大50%コンパクト、重量は15%と超軽量
これまで主流だった鉛のバッテリーに対しリチウムはその素材の性質上、高いエネルギー密度がある。またバッテリー内部のセルにかけられる電圧も鉛より高い。そのため、同じ容量で揃えると鉛よりもスペースを取らない。キャンピングカー内部にバッテリーを搭載する場合はシート下などに収めることが多いが、ご存知の通りインバーターなどセットになるパーツと同居する関係で、取れるスペースは限られる。同容量でよりコンパクトということは同じスペースにより大容量のものが積めるということでもあるので、この恩恵は大きい。
また重量については、そもそも金属としてリチウムは鉛より軽い。クルマに積載するものは軽いが正義なので、この点でもメリットがある。
大きな電力をやりとりできて、ギリギリまで一定の電圧をキープできる
鉛のバッテリーはリチウムに比べ内部抵抗が大きく、大電流を流すと熱が発生しやすい。比べてリチウムイオンバッテリー内はリチウムイオンが効率的に移動できるような材料が使用されており、それが大きな電力の充放電を可能としている。また鉛のバッテリーは容量が低下すると電圧も少しずつ下がってしまうという特性があるが、リチウムイオンバッテリーは内部の容量が減ってもギリギリまで一定の電圧をキープしてくれるので、安心して家電を使えるのだ。(逆にいうと突然バチンと落ちることもあるので、ちゃんとモニターしよう)
自身での取り付けは大変危険なので、取り付けや鉛からの換装はプロに頼もう
バッテリーだけでなく配線周りも火災の原因となるため、車載という過酷な条件下での電気系統には素人が安易に手を出さないことを強くオススメする。リチウムについて詳しく知りたい方は、ぜひ下の3つの記事も読んでいただきたい。
※すべておおよその参考値
今どきリチウムイオンバッテリー9選
4500回以上サイクルOKな長寿命!防水・ヒーターつきでいろいろ安心
「PYLONTECH 100Ahリン酸鉄リチウムイオンバッテリー」は、4500サイクル以上という高耐久。1回の充放電をセットにして1サイクルなので、長く使える。高性能なBMS(バッテリーマネジメントシステム)でバッテリーの充放電を常に最適化することで高いパフォーマンスを維持している。セルは安全性の高いリン酸鉄を採用。またIP67という等級を取得している。IP6は防塵、IPX7は防水の等級となり、防水の7は「ちょっと濡れても内部に浸水しない」くらいの強さ。そのためボートなどマリン業界でも採用されている製品だ。また、低温環境ではリチウムイオンの動きが遅くなるため電流の流れが妨げられる。その結果としてバッテリーの出力が低下したり、極端な低温だと充電も放電もできなくなってしまうのだが、それを防ぐためにON/OFF式のヒーターが内蔵されている。
PYLONTECH 100Ahリン酸鉄リチウムイオンバッテリー
■容量:100Ah
■サイズ(幅×奥行き×高さ):325×173.5×226mm
■重量:13kg
■バッテリーサイクル数:4500回
■価格:11万円
■購入先:stage21 042-763-0061
トイファクトリーユーザーは置き換え一択。厳しい目で選ばれた一品
「Super-B EPSILON 150Ah」は高性能BMSやバッテリー保護機能は言うに及ばず、150Ahでありながら連続放電電流量は200Aとかなり高性能。こちらもヒーターがついており0℃未満の環境ではバッテリー内部を自動で加熱してくれる。朝方の気温が0℃未満になる場所は冬場ならざらにあるのでこの機能はかなり安心。また、国際的な安全認証規格のUN ECE R10.16、バッテリーを空輸可能になる試験UN38.3などを取得しており、高いレベルで安全性がチェックされている。オランダで開発されており、トイファクトリーが国内総代理店を務めている。トイファクトリーのキャンピングカーで鉛バッテリーを装着しているモデルはこちらに換装可能。
Super-B リチウムイオンバッテリー EPSILON 150Ah
■容量:150Ah
■サイズ(幅×奥行き×高さ):353×175×190mm
■重量:16kg
■バッテリーサイクル数:約5000回
■価格:35万2000円
■購入先:トイファクトリー 0574-63-0667
オランダ製高品質バッテリー、直列&並列もOK!
「Victron Lithium Battery 12.8V Smart 200Ah」は世界的に有名なオランダVictron Energyのリチウムバッテリー。VE.Bus BMSという専用BMSとセットでの運用になる。独自のセルバランシング機能を持ち、バッテリー内部にある4つのセルの電圧を均一に保つことで長寿命・安定運用を可能にしている。最大20個までの直列・並列ができる機能があり、さすがにキャンピングカーでそこまでの数は載せないだろうが、コンパクトさもあり複数載せやすいのはメリット。専用アプリでセルの電圧や温度のモニター、低電圧時のアラーム設定なども可能。100Ahは国内終売とのことで、ラインナップとしては200Ahからになる。
Victron Lithium Battery 12.8V Smart 200Ah & VE.Bus BMS
■容量:200Ah
■サイズ(幅×奥行き×高さ):321×152×237mm
■重量:20kg
■バッテリーサイクル数:約5000回
■価格:17万9100円
■購入先:LAC RVセンター 070-63-0667
大電力を思いっきり使えるシステム
写真はコンプリートキット。スターターキットではパワーハブ(写真左上)と2kWhリチウムイオンバッテリー(写真下)のセットになる
「Eco Flow パワーシステム 2kWh スターターキット」はリチウムイオンバッテリーを並列に並べることで家庭のような大容量電源環境を作れるシステムだ。写真左上のパワーハブはMPPTソーラー充電器2台・MPPTつきDC-DCバッテリー充電器1台・DC-DC降圧コンバーター1台・インバーター1台を組み合わせた、まさにシステムのハブ、中心となる存在で、3000Wまでの出力に対応できる。それに2kWhリチウムイオンバッテリーが1台ついてくる。このままでも十分大容量だが、せっかくのパワーハブを活かすために2kWhバッテリーを追加したり、ソーラーパネルと組み合わせて自立型キャンピングカーへの道を歩みだすのがオススメ。
スマート分電盤(写真右)も追加されるセミコンプリートキット、さらにタッチパネルモニターもついてくるコンプリートキットもラインナップされる。
Eco Flow パワーシステム 2kWh スターターキット
■価格:57万2000円
■容量:2kWh
■バッテリーのサイズ(幅×奥行き×高さ):348×198×285mm
■重量:17kg
■バッテリーサイクル数:3000回
■購入先:EcoFlow公式サイト、amazon公式ショップ
ちなみにバッテリーを並列に並べると電圧はそのままで、使える容量が増える。直列だと逆に容量はそのままで電圧が増える。キャンピングカーでの使用は並列が基本になると覚えておくといいかも。
250Wソーラーパネルもセットになった便利タイプ
「off−grid ソーラー充電セット250W 150Ah」は消費電力の大きい電化製品を使用したい人にオススメのセット。高性能BMSを搭載したSuper-Bの150Ahリチウムイオンバッテリーは実質100Ahの鉛バッテリー2台分以上の使用量がある。そこに曇り空にも強い単結晶セルの250Wソーラーパネルと、効率の良い充電が可能なMPPT方式の充電コントローラー、インバーターや充電器を制御できるモニターがセットになっている。電装系パーツを組み合わせるときに懸念材料となるパーツごとの相性がチェックされた構成なので、これ1つで気軽にソーラーシステムを構築できるのが嬉しい。別売りでインバーターもラインナップしている。
off−grid ソーラー充電セット250W 150Ah
■価格:46万3650円〜
■購入先:ネクストエナジー・アンド・リソース 0265-98-6804
独自開発されたキャンピングカーのためのリチウムバッテリー
「宮神」はケイワークスが2024年夏に発表した新型リチウムイオンバッテリー。詳しくは関連記事をご覧いただきたい。
安全性と性能を兼ね備えた、信頼できるバッテリーが求められているなかで、ケイワークスは名古屋大学工学部の宮地氏と共同で「宮神」を誕生させた。ケイワークス車以外のユーザーでも搭載が可能だが、バッテリー単体での販売ではなく、同社の「メビウスシステム」と呼ばれるオリジナルの高効率充電システムごとの導入となる。メビウスシステムにはソーラーパネルや走行充電も含まれていて独自のテストを繰り返された様々な車両で導入事例を蓄積しているそうなので、お乗りのクルマの電装系を刷新したいなら一度相談してみるのがオススメだ。
宮神は複数台の並列が可能なので大容量家電生活が送れる
宮神
■価格:15万8000円※メビウスシステムの構築費は別途
■容量:105Ah
■購入先:ケイワークス 0120-223-448
ヒート機能搭載で寒冷地も安心
「LiFeP04 リチウムイオンバッテリー 12V 125Ah」はキャンピングカーオーゼットの販売するリチウムイオンバッテリー。軽量&ハイパワーなセルに専用ケースつきるコンパクトなため鉛のディープサイクルバッテリーとの入れ替えでも配線などのレイアウト変更が不要。寒冷地での使用を考慮しヒート機能を搭載しており、気温が0℃以下での環境でも充電ができる。気温0℃というと真冬の夜間や朝方なら平地でも下回ることがあるので、一番寒い時間帯に肝心の電気が使えないという悲劇を防いでくれるありがたい機能だ。並列でも使えるので複数台つければ通年で快適にエアコンが使える。
LiFeP04 リチウムイオンバッテリー 12V 125Ah
■価格:12万6500円
■容量:125Ah
■サイズ(幅×奥行き×高さ):260×167×215mm
■購入先:キャンピングカーオーゼット 0120-59-0575
車載のための安全性を追求
「RENOGY ヒート機能つきPROシリーズ 12V 100Ahスマートリン酸鉄リチウムイオンバッテリー Bluetooth内蔵」は、独自のバッテリーハウジング素材でRV用に小型化されたシリーズ。重量は鉛のバッテリーの半分なのに2倍のエネルギーを供給できる。難燃性のケースや自動車向けBMSの搭載、異常を検知してからの回路切断の高速化などハード面からもソフト面からも事故を防ぐための取り組みがなされている。Bluetooth機能でスマホからバッテリーの状況をモニターすることができる。bluetooth機能・ヒート機能はないがさらに小型なCOREminiシリーズもある。
RENOGY ヒート機能つきPROシリーズ 12V 100Ahスマートリン酸鉄リチウムイオンバッテリー Bluetooth内蔵
■価格:9万9900円
■容量:100Ah
■サイズ(幅×奥行き×高さ):268×193×205mm
■重量:12.2kg
■バッテリーサイクル数:5000回
■購入先:RENOGY公式サイト、amazon公式ショップ
ショップが感じるユーザーの「大容量化」
10年以上リチウムイオンバッテリーを販売してきたオンリースタイルは、近年特に大容量電源への需要を感じているという。それはオンリースタイルの製品を多数取り付けてきたロッキー2も同じ。
多数のキャンピングカーが並ぶロッキー2の展示場(神奈川県横浜市)ロッキー2が施工したAtoZのキャンピングカーのルームエアコン。リチウムイオンバッテリーは最後まで安定した出力を出せるためルームエアコンと相性が良い
「リチウムイオンバッテリーを求めるオーナーが増えました。電源が確保できない場所でクーラーを使いたいなど、具体的な利用方法に合わせて容量を選ぶ傾向にあります」
そうコメントするのはロッキー2の工場長、寺内竜太郎さん。こういう要望にはオンリースタイル製のバッテリーを勧めていると言う。
「オンリースタイルのバッテリーは国内で最終的な組み上げを行なっていて、連携がとりやすいのでショップとしても安心してお客様に提案できます。こちらでも色々なメーカーのバッテリーをテストしたのですが、表記分の電気をしっかり取り出せるのがオンリースタイルのバッテリーでした。安全対策がしっかりしているのも安心です」
オンリースタイルの安全対策は他のメーカーに比べても厳重で、電極1つひとつに温度センサーを取り付け、バッテリーの異常を監視している。異常を検知した時には電子制御で電気の流れを遮断するのではなく、物理的に電気の流れを絶つ機械式のリレーを採用。電気式ではないため誤動作がなく確実な方法だ。
さらに外部からの衝撃が加わっても内部のバッテリーを守るために強固なスチールボックスにセルを格納している。バッテリー事故ゼロを目指して、自社工場でセルの全数検査を行ない、徹底した品質管理体制を敷いている。
オンリースタイルのバッテリー、3750Wh(300Ah)。スチールボックスのサイズは353×269×265mm。価格は30万2500円電子レンジは短時間で高出力を必要とする性質の家電。高出力インバーターをつかって大容量の電気を一気に取り出というリチウムイオンバッテリーのメリットがここでも生きる
リチウムイオンバッテリーへの変更は単に鉛を置き換えるのではなく、周辺機器の交換も必要となる。自分で架装して、配線系で炎上する事故も少なくないので、かならずプロに相談しよう。
オンリースタイル
0120-511-550