5×2m駐車場に入るし普通免許で乗れる!進化した小型本格キャンピングカー最旬5選
現代日本の道路事情に合わせ、”キャブコン”と呼ばれる本格的なキャンピングカーのジャンルで進化が始まっている。新しい日本のキャンピングカーをかたちを模索する、いま一番熱いジャンルのキャンピングカーを紹介。
これが新しい本格キャンピングカーの形!旬の5選
ジープニー(タイプX・W・REとも7人乗り5人就寝・812万円~)
後部がダブルベッドのタイプX
VANTECHと並ぶ国産本格キャンピングカーの二大巨頭、ナッツRVが昨年リリースしたジープニーは発表当時798万円という価格設定で、ハイエースで800万円・本格キャンピングカーで1200万円は当たり前という高額化の風潮に一石を投じ話題となった。サイズはガソリン車をベースにして4990×2000×2800mm。お姉さん格にあたる同社の「クレソンジャーニー」より一回り小さい。
クレソンジャーニー(左)とジープニー(右)。全幅・全高とも一回り小さくなっている
ボディサイズも価格もダウンサイジングされているが、キャンピングカーとして必要な部分はなにも削ってはいない。ボディパネルや窓は上級モデルと同じ素材で作られ軽量・高断熱だし、ベッドも同じく上級モデルと同等のウッドスプリングとオリジナルベッドマットの構成、家具も軽量高耐久のPVC製。
こちらは後部が2段ベッドでマルチルームがついている「タイプW」。よくここまで値段が落とせたなと思うくらい作りこまれていて、正直マルチルームにトイレをつけるくらいしかオプションがいらないのではという感がある
レイアウトは他のナッツRVのモデルと同じく3タイプ。マルチルームの有無、ベッドが2段ベッドかダブルベッドか、フロントエントランスかリアエントランスか、といった特徴がある。ライフスタイルに合わせて選びたい。
タイプRE。エントランスが最後部なのでリビングスペースが広々しているのが魅力。室内のくつろぎ優先な方はこちらをどうぞ
▼ジープニーのポイント
利用可能人数:7人乗り、5人就寝車両サイズ:4990×2000×2800mmマルチルーム:タイプWとタイプREにあり標準快適装備:ルームエアコン、冷蔵庫、電子レンジ標準電装装備:100Ahサブバッテリー×3、1500Wインバーター価格:812万円~
グランドパピィ(8人乗り6人就寝・872万円~)
小さいサイズのキャンピングカーを得意とする「キャンパー厚木」の「グランドパピイ」。2024年初頭にリリースされたモデルだ。カムロードのガソリンタイプをベース車としている。ポイントはなんといっても1740mmというスリムさ。アルファードは1850mmなのでグランドパピィの方が細い。全長も4970mmなのでアルファードの4995mmより短かい。排気量1998ccのガソリン車ベースだが、居室部分の軽量化がなされているため不満なく走れるのも評価したい。
トラックベースなので見切りもよく、アルファードより運転しやすいかも?(運転支援技術の充実度や快適性について考慮しなければだが)
アルファードと同程度のボディサイズなのでいろいろ切り詰めて作られているはずだが、さすがコンパクトなキャンピングカーを得意とするメーカーだけあり、装備に緩急をつけて必要なスペースはしっかり確保されている。たとえばL字型のキッチンのカセットコンロ置き場はフタ付きで、閉めれば調理台になる。冷蔵庫はしっかり65ℓのものをチョイス。
900万円切りの価格で、ルームエアコンやFFヒーターを標準装備にした点も見逃せない。8人乗りなので、大人数ファミリーや仲間同士で楽しく出かけたい人にオススメ。
▼グランドパピィのポイント
利用可能人数:8人乗り、6人就寝車両サイズ:4970×1740×2750mmマルチルーム:あり標準快適装備:ルームエアコン、FFヒーター、冷蔵庫標準電装装備:100Ahサブバッテリー×3、1500Wインバーター価格:872万円~
アレッタ(タイプX・W・REとも 6人乗り5人就寝、950万円~)
アレッタ・タイプX。ジープニーのタイプX同様こちらもマルチルームなし、後席ダブルベッド仕様だ
アレッタも上で紹介したジープニーと同じくナッツRVのキャンピングカーで、ジープニーが同社のクレソンジャーニーの妹分なら、アレッタは「クレア・スティング」の妹になる。クレア・スティングは他社でならフラッグシップ扱いになるクラスの高級キャンピングカーだが、その高級モデルを4850×1950×2850mmの小型ボディに落とし込んだイメージだ。
コンパクトな感じを全く見せない押し出しのきいたスタイリングも魅力(オプションのエアロ装着車)
ちなみに価格はジープニーより上だが、サイズはさらに小型化。全長4850mmは日産セレナのオーテックバージョンと同程度と考えると驚異的だ。
アレッタ・タイプW。2段ベッドとマルチルームがある。子供さんは2段ベッド大好きなのでファミリーにオススメしたい
ジープニーと同じくアレッタも上級クラスと同じ高断熱アルミパネルのボディを使い、壁も天井も床も高断熱、ベッドもウッドスプリングで快適、家具はPVC製。さらにダウンライトや間接照明で高級感ある室内が演出されていて、リチウムイオンバッテリーを使った同社のオリジナル大容量急速充電システム「ハイパーエボリューション」の最新バージョン「EVOIII」が搭載可能。小さい=エコモデルではないことが表明されている。
アレッタ・タイプRE。リアエントランス方式で、広々したリビングスペースが魅力
アレッタもジープニーと同じく3つのレイアウトが同時発表されている。誰と使うか、何に使うかによって選びたい。
▼アレッタのポイント
利用可能人数:6人乗り、5人就寝車両サイズ:4850×1950×2850mmマルチルーム:タイプWとタイプREにあり標準快適装備:ルームエアコン、FFヒーター、冷蔵庫、電子レンジ標準電装装備:100Ahサブバッテリー×3、1500Wインバーター、280Wソーラーパネル価格:950万円~
レーベンシリーズ(6人乗り5人就寝、950万円~)
「これはアレッタかジープニーのREでは?」と思った方は正解。実は東和モータース販売では一部モデルをナッツRVと共同販売しているのだ。ジープニーは東和モータース販売では「モビー」、アレッタは「レーベン」という名前で販売されている。もちろんレイアウトが3つあるのも一緒。
モビーR2B。ナッツRVではジープニータイプWとして販売されている
ではどちらで買えばいいの?となるが、そこは販売店とお住まいの近さや販売スタッフとのフィーリングで選んで大丈夫。ユーザーとしては選択肢が広がって嬉しい。
リバティ50DB(7人乗り5人就寝、972万円~)
照明使いがラグジュアリー感を演出するアネックスの「リバティ50DB」。リバティ52DBという姉妹モデルのダウンサイジング版にあたる。サイズは全長4990mm全幅1990mmなのでハイエースのスーパーロング(全長5380mm全幅1880mm)並み。価格もちょっと高いハイエースキャンパーくらい。それでこのクオリティの室内が手に入る。
室内もオシャレだが外観もオシャレ。なんと外観を12色から選択できる。パワープラス4800というオプションを設定した場合の特典となるが、そもそもこのオプションは4800Whのリチウムイオンバッテリーや2000Wの高出力インバーターなどをレノジーで統一して電装強化し、エアコン冷蔵庫電子レンジまでついてくるという超強力なものなので採用一択だ。
鏡と着脱式のバーまでついてくるマルチルーム
マルチルームのなかまでこんなにオシャレ。ホテルライクなスタイリングがお好みの方にはド直球だ。
リバティ50DBのポイント
利用可能人数:7人乗り、5人就寝(大人3人+子供2人)車両サイズ:4990×1950×2830mmマルチルーム:あり標準快適装備:標準電装装備:100Ahサブバッテリー価格:972万円~
キャンピングカーも変わらざるを得なかった。日本の道路事情と免許事情
キャンピングカーを買うなら広くて豪華でいっぱい乗れていっぱい荷物が積めるやつが良い。と一度は思うかもしれない。しかしそこに立ちはだかってくるのが駐車場問題だ
そもそもなぜキャンピングカーが変化せざるを得なかったのか。前提として、キャブコンと呼ばれるジャンルは居室部分を壁や天井ごと作るので法律の範囲内でメーカーが任意のボディサイズを定められる。とはいえ長らく全長5m×全幅2m程度のサイズに収めたモデルが多かったのだが、近年は全長5.2m、全幅も2mを若干オーバーさせたラグジュアリーモデルが増えていた。
VANTECHのZiL520。車名からもわかるように全長は5.2m。日本のキャブコンジャンルのトレンドはだいたいZiLが作ってきた
しかし5.2×2.1mというサイズ感だと一般的な駐車場枠に収まらない。都市部を中心に、車庫証明を取るのが困難になってきた。もし観光地めぐりをしたいのなら旅先の駐車場探しもハードルが上がる。
しかも平成29年(2017年)に行われた法改正で、新規に普通免許を取得した人が運転できるのは総重量3.5トン未満と定められた。5.2mクラスだと装備内容によっては車両総重量が3.5トンを超える。2017年以降に普通免許を取得してこのクラスのキャンピングカーを運転しようという人はまだ少ないが、メーカーとして未来を考えるなら早晩対応しないといけない問題でもあったのだ。