キャンピングカーで「日本列島RVパークの旅」⑩【連載】RVパーク父母ヶ浜(香川県)
キャンピングカーや車中泊仕様車でどこに泊まれるのかというと、道の駅や有料道路のパーキングを連想しがち……。でもこれらの場所は、休憩のための仮眠はオッケーでも宿泊できる場所ではありません。そこで利用したいのが、RVパーク。キャンピングカーの製造メーカーやディーラーで構成される日本RV協会が設置を進める「快適で安心して車中泊できるスペース」のことで、入浴施設やトイレ、電源設備などが備わります。実際にオートキャンパー WEB編集部が全国各地のRVパークに実際に泊まってその魅力をお伝えします。なお、2024年2月13日現在、日本全国にRVパークは413カ所ほど存在しています。
日本のウユニ塩湖とも呼ばれる美しい海岸の横で過ごすぜいたくな時間
香川県の西部にある三豊市は、高松市や丸亀市に次ぐ県内3番目に人口の多い都市。市は縦長に広がり、北側は瀬戸内海に浦島伝説で有名な荘内半島が突き出ている。中央には三豊平野が広がり、南側は徳島県三好市と県境を接している。今回紹介するパークは荘内半島の西側の付け根にある。ここ父母ヶ浜は約1km のロングビーチを誇り、波が穏やかなこともあり夏場は海水浴、季節を問わずウインドサーフィンなどを楽しむ人で賑わう。ここ最近では潮が引いた干潮時の夕暮れ時が南米ボリビアの「ウユニ塩湖」のような美しさと話題になり、その美しさを写真に収めようと多くの人が訪れている。
アクセスは高松道・さぬき三豊ICから県道220号経由、もしくは三豊鳥坂ICから県道35号―271号経由どちらも約20分となっている。
見晴らしもよく騒がしくないビーチリゾート
父母ヶ浜は珍しい遠浅の地形で地元の人々の遊び場として定着していたが、以前は瀬戸内海のゴミが大量に漂着することもあって海岸の埋め立てや工場誘致の構想もあったほど。しかし、地元有志による日々のゴミ拾いの甲斐あって計画は中止になり、いまでは国内外から多くの人が訪れる美しい海岸となっている。
パークの眼前にはロングビーチ。穏やかな海で心もリフレッシュ
そんな場所にあるパークは父母ヶ浜の総合インフォメーションセンターでもある父母ヶ浜ポート事務局が運営。ここ父母ヶ浜ポートは、カフェやシャワー室などを運営しており、RVパーク利用時もここが受け付けとなる。建物横には洗い場もあるので調理準備や片づけもしやすい。
区画は全部で9区間を用意し幅5mの区画が5区画、幅3.5mの区画が4区画となっている。幅5mの区画ではサイドオーニングやイス・チェアなどの展開も可能。さらに、焚き火台を使った焚き火も21時までできる。海岸近くには常設のレンタル焚き火スペースもあるので、焚き火台を持っていなくてもここで焚き火が楽しめる。
ペット連れももちろん可能で、ドッグランはないが長く続く砂浜があるのでワンちゃんの散歩も心配はない。
買い出しにも便利な立地で、香川県の名物うどん店も近くに点在
海辺でのんびり過ごすだけでもその景色に十分に癒やされるのだが、周辺観光なら春には桜、初夏にはアジサイと四季折々の花が美しい紫雲出山(約12km・25分)が人気。ここ紫雲出山(標高352m)の山頂から見える瀬戸内海の景色はまさに絶景。ほかにも、隣の市である観音寺市の人気スポットである琴弾公園(約7.8km・13分)から見る銭形砂絵「寛永通宝」もそのサイズに驚くことだろう。さらに、南下して徳島県との県境にある四国霊場第六十六番札所・雲辺寺にロープウェイで行くのもお薦め。雲辺寺ロープウェイは約7分・標高920mの空中散歩が楽しめる。山頂には雲辺寺のほかに雲辺寺山頂公園もあり、讃岐平野や瀬戸内海を眼下に漕ぐ事ができる木製の「天空のブランコ」に乗って絶景を楽しむことができる。筆者も以前訪れたことがあるが、今回の取材時は予定外の雪模様だったためなくなく引き返すこととなった。
雲辺寺ロープウェイは往復で大人2200円、中・高校生1650円、小学生1100円。取材時は生憎の雪模様で景色もそんなに楽しめず…。雲辺寺の諸堂は雲辺寺山稜線の南側に位置し、住所は徳島県だが、便宜上香川県の札所に数えられている。県境線をまたいで写真を撮るのもおすすめ
ショッピングは道の駅ことひきがパークから約8km・12分。スーパーは1.4kmのところにショッピングストア今川 仁尾浜店があるので自炊派にオススメ。グルメはパークから徒歩2分のところに「讃岐醤油うどん 青天上」があるほか、明治38年創業の三豊市の老舗うどん「上杉食品」もクルマで15分。パークスタッフのお薦めは「元祖たこ判 小前」(約1.2km・3分)で、うどんや骨付き鶏などに飽きた人にちょうどいいB級グルメだそう。
潮騒をBGMに寝て、美しい海を眺めつつおだやかな波の音を楽しみながらのんびり過ごせるパーク。次回はきちんと干潮の時間を事前に調べて干潟と海の幻想的な写真撮影にチャレンジしてみたいと思う。