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キャンピングカーで「日本列島RVパークの旅」⑨【連載】お遍路 RVパーク 安楽寺(徳島県)

キャンピングカーや車中泊仕様車でどこに泊まれるのかというと、道の駅や有料道路のパーキングを連想しがち……。でもこれらの場所は、休憩のための仮眠はオッケーでも宿泊できる場所ではありません。そこで利用したいのが、RVパーク。キャンピングカーの製造メーカーやディーラーで構成される日本RV協会が設置を進める「快適で安心して車中泊できるスペース」のことで、入浴施設やトイレ、電源設備などが備わります。実際にオートキャンパー WEB編集部が全国各地のRVパークに実際に泊まってその魅力をお伝えします。なお、2024年2月13日現在、日本全国にRVパークは413カ所ほど存在しています。

キャンピングカーお遍路にうれしい。霊場にあるRVパーク

約1200年前に弘法大師(空海)が修行した88の霊場をたどる巡礼で知られる「お遍路」。徳島、高知、愛媛、香川県を巡る旅の道のりは約1400km。すべての札所を巡拝することで願いが叶ったり、弘法大師の功徳を得られるといわれている。最近は参拝する目的も多様化していて、健康祈願や近親者の供養、健康増進、自分探しの旅など、人によって実にさまざま。昔は弘法大師と同じように歩いて行なう人が多かったが、現在では自転車やオートバイ、自動車など、徒歩以外での巡礼も珍しくなくなっている。香川県に本拠を置くキャンピングカービルダー「岡モータース」は、お遍路旅に適した装備を搭載する「ミニチュアクルーズ遍路」というモデルまでリリースしているほどで、キャンピングカーを利用した巡礼も珍しくなくなっている。
今回紹介するRVパークはお遍路の四国八十八ヶ所霊場・第6番札所にあたる「温泉山 瑠璃光院 安楽寺」。ここは徳島県の北東部に位置し、北は阿讃山脈、南は吉野川に挟まれた地域で、藍染めの原料である藍すくもや、和菓子に使われる阿波和三盆糖の産地としても知られている。アクセスは徳島道・土成(どなり)ICから約3kmで、県道139号沿いにあるため迷うことも少ない。

県道139側からみたパーク。手前にトイレや水場などの施設があり、その奥が駐車スペースになっている

パーク以外にも温泉をはじめ、宿坊や食事など施設が充実

本堂と性霊殿、太子堂のほかにも山門を抜けると小さな庭園、その奥に多宝塔があり四季折々のコントラストが楽しめる

温泉山 瑠璃光院 安楽寺は山号に「温泉山」と付くように温泉がある。以前は引野村と呼ばれたこの地には古くから温泉があったことでも知られており、平安時代に四国を巡っていた弘法大師が、この地に霊泉が湧き出ていることを発見。湧き出る湯は万病を治癒する効果があるとされ、お堂を築き薬師如来様を刻んで安置し、湯治のご利益を伝えたという。
その後、安土桃山時代になると安楽寺は阿波徳島藩により「駅路寺」として定められ、遍路や旅人のために宿や食事を提供して保護した。 安楽寺は八十八ヶ所の中で唯一の「駅路寺」として今日に至っており、いまでも寺には宿坊が併設されている。

境内の地下から温泉が湧き出ており、本堂左側が「銀の温泉」で右側が「金の温泉」が迎えてくれる
400年以上の昔からお遍路さんに親しまれている、四国八十八ヶ所の中で順打ちすると最初にある宿坊がこの安楽寺
宿坊にある大浴場「弘法の湯」。神経痛・筋肉痛・病後回復などに効果があると言われている
山門の仁王像をはじめ、各御堂には京都大仏師・松本明慶師が彫ってきた仏像、六十体が祀られている
本堂には寄贈された本尊・薬師如来像が祀られており、古来の本尊は胎内仏として納められている
境内には寺オリジナルの人気ガチャ。「旅するお遍路さん」「みほとけガチャポン」「おまいりちゃん」なども販売されている。旅の土産としても人気

パークは県道を挟んだ反対側にある駐車場の一角に設置されており、トイレや水場、ゴミステーションも近い。サイトの利用可能台数は6台で、1区画のサイズは8×4m。調理や焚き火などはできないが、区画内であれば車外でサイドオーニングやチェアの利用は可能。
施設利用は4つのプランが用意されており、どれにも温泉入浴が含まれているほか、夜のお勤め(宗教・宗派不問)にも参加ができるといのも宿坊ならでは。ほかにも、別途料金はかかるが車両前での交通安全祈祷や3日前までに予約をすれば食事付きのプランも選ぶことができる。
パークは県道沿いながらも夜間はとても静か。ただしコンビニやスーパーはどちらも片道約1.5kmと徒歩ではしんどい距離なので、車内で食事をする人は事前に買い物を済ませておくのがお薦め。寺の横に喫茶店があるため、軽食なら問題ないが徒歩圏内の食事処がとても少ないことも留意しておきたい。

パークの区画は6区画。長さは8mもあるので軽キャンパーなら余裕のスペースだが、幅が4mなので車両によってはサイドオーニングの展開は厳しいモデルもある
トイレ横横にある水場では洗顔をはじめ、食器などを洗うこともできる

徳島県・東西部の観光拠点としても便利

徳島県は観光エリアとして徳島市や阿波市、鳴門市などを含む東部。三好市や美馬市などの西部、そして阿南市や海陽町などの南部と大きく3つのエリアに分かれている。パークは東部の北東に位置しており、「阿波おどり」開催される県の中心地である徳島市へのアクセスがいいほか、西部の美馬市にも近いなど、観光拠点としても便利。
パークのある板野周辺では藍染めの歴史や体験などができる「藍の館」をはじめ、吉野川にかかる潜水橋もいくつも存在するので、この地ならではの文化や景色を楽しむのもお薦め。また美馬市にあるかつての城下町「うだつの町並み」を散策してみるのもいいだろう。
パーク近所での買い物は徒歩だとひと苦労なので、道中に買い物しておくのがお薦め。温泉がパークで利用できるが、約3.5kmのところには「天然温泉 御所の郷」もある。ここは、内風呂や露天風呂に加え、3つのサウナに岩盤浴など、さまざまな風呂が楽しめリフレッシュできるとあり、地元の人にも人気。さらにレストランや産直野菜販売店もあるので、買い物や食事ついでにお風呂というのもありだろう。
キャンピングカーお遍路はもちろんのこと、四国旅・徳島旅の拠点としても活用しやすい、RVパークとなっている。

「藍住町歴史館 藍の館」(徳島県板野郡藍住町徳命字前須西172 088-692-6317)
RVパークからクルマで約10km(約20分)にある藍の館は藍商人である奥村家の屋敷をそのまま利用し、阿波藍の歴史や製法などを詳しく紹介
「藍住町歴史館 藍の館」では、現在の藍染め作家の作品展示をはじめ藍染め体験もできる。平成元年にオープンし、令和4年11月にリニューアルされた。併設される「藍屋敷おくむら藍住本店」で藍染め作品の販売もしている

高知県と徳島県を流れる一級河川である吉野川に架かる潜水橋(沈下橋やもぐり橋などとも言う)。吉野川沿いにはいくつも存在し、代表的なのは美馬市の脇町橋。写真は吉野川市にある川島潜水橋。大型キャブコンなどは橋幅が狭いので注意

うだつの町並み。吉野川北岸に位置し交通や舟運の要だった、脇城の城下町や藍の集散地として発展し、今では重要伝統的建造物群保存地区となっている。明治時代ごろのものを中心に江戸中期から昭和初期の85棟の伝統的建造物が建ち並び、近世・近代の景観をそのまま残している
「うだつ」とは建物の両側に「卯」字形に張り出した小屋根付きの袖壁があることで、富や成功の証ともなっている。近くの「道の駅藍ランドうだつ」には大型車でも駐車できる大型駐車場があるので安心

グルメは境内に隣接するカフェ「お四国のしらかわ」がある。コーヒーやソフトクリームに草だんごなど、休憩するのにぴったり。巡礼用品なども販売

パークから約5.6km(約10分)にある中華そば金屋。徳島名物である写真の「徳島ラーメン(700円)」をはじめ、肉入り中華そばも人気
パークから約2.5km(約6分)にあるマルナカ吉野店(徳島県阿波市吉野町西条原市40−1)は、食材も充実し惣菜などもあるので車内で自炊する人にはお薦め

天然温泉 御所の郷
徳島県阿波市土成町吉田字梨木原1 088-695-4615
天然温泉をはじめ、レストランに直売所、整体なども備わるリラクゼーション施設。大きな湯船やサウナなど豊富な風呂を用意しておりゆったりと休める

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