国産本格キャンピングカーは小型化がトレンド?最旬カムロードキャンピングカー11選
2024年も多彩なキャンピングカーが登場し、ユーザーに新たな選択肢をもたらした。ここではオートキャンパーがこの1年で掴んだ本格キャンピングカー情報を一挙公開する。
国産キャブコンが小型化!5m×2m未満のタイプが次々登場
5m×2mサイズだと一般の駐車場でも普通におさまる
日本のキャンピングカー市場で、ハイエースやキャラバンのキャンピングカーと人気を二分するのが国産の「キャブコン」と呼ばれるジャンルだ。キャンピングカー専用に作られたカムロードやBe-Cam、ハイエースなどをベースに使い、シェルと呼ばれる居室部分は壁や天井などをイチから作っていく。
これまでは大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載してエアコンや電子レンジなど家電を潤沢に使いつつ、全長5.2m以上全幅2m以上のゆったりサイズでラグジュアリーに旅するモデルが人気だったが、2024年はボディサイズのトレンドが激変。5m×2m未満というコンパクトボディモデルが各メーカーより続々投入された。
キャブコンジャンルで小型化するメリットとしては、もちろん駐車場が確保しやすくなるということがあげられるが、もう1つ、車両総重量を3.5t未満におさえられれば、2017年以降に普通免許を取得した人でも運転できるという点があげられる。
王道人気のカムロードベースキャンピングカー11選
アレッタ&レーベン/ナッツRV&東和モータース販売【全長4850×全幅1950×全高2850mm】
アレッタタイプX
2024年夏に衝撃をもって迎えられたアレッタシリーズ。6人乗車5人就寝の設定で、全長4850mm全幅1950mmとアルファードと同等サイズなのにまったくそれを感じさせない堂々としたスタイリングと、室内の広さ。そして大型に引けを取らないラグジュアリー感。新・王道というにふさわしいパッケージを示してみせた。
アレッタタイプW。マルチルームあり、後部2段ベッドでファミリーに人気のレイアウトだアレッタタイプX。マルチルームをなくしたかわりに広いベッドとゆとりのリビングを採用アレッタRE。後ろ側にエントランスを移動させることで、リビングを大きく広くした
3タイプあるレイアウトはナッツRVの他モデルでも人気の間取り、家具のグレードも大型モデルと同じ、オリジナル高効率電装システムを搭載してエアコンをひと晩動かせるゆとりの電力環境と、なにも妥協していない。なのに最低価格は950万円からと1000万切りを達成はなかなかの異次元。2025年以降も大きなムーブメントの中心にいそうな存在だ。
なおナッツRVのモデルは東和モータース販売でも購入でき、アレッタは東和モータース販売では「レーベン」という名前で販売中だ。販売店との距離などで選ぶと良いだろう。
▼アレッタ/レーベンのポイント
利用可能人数:6人乗り、5人就寝車両サイズ:4850×1950×2850mmマルチルーム:タイプWとタイプREにあり標準快適装備:ルームエアコン、FFヒーター、冷蔵庫、電子レンジ標準電装装備:100Ahサブバッテリー×3、1500Wインバーター、280Wソーラーパネル価格:950万円~
グランドパピィ/キャンパー厚木【全長4970×全幅1740×全高2750mm】
コンパクトなキャブコンを得意とするメーカー・キャンパー厚木からは初のファミリーユース対応モデル「グランドパピィ」がリリースされた。街なかでも運転が楽になる全幅1740mmというスリムさは驚異的。
室内は対面式のテーブルにサイドソファで広々リビングを実現。バンクと呼ばれる運転席上部の空間のベッドだけでも3人が寝られたり、サイドソファ部分だけベッドにしてお座敷みたいにできたり、レイアウトの工夫も光る。
▼グランドパピィのポイント
利用可能人数:8人乗り、6人就寝車両サイズ:4970×1740×2750mmマルチルーム:あり標準快適装備:ルームエアコン、FFヒーター、冷蔵庫標準電装装備:100Ahサブバッテリー×3、1500Wインバーター価格:872万円~
ジープニーRE&モビーDC/ナッツRV&東和モータース販売【全長4990×全幅1920×全高2800mm】
アレッタと同じメーカーから2023年にリリースされたジープニー。800万円前半という衝撃価格で話題になったが、2024年にリアエントランスモデルが追加された。リアエントランスとは文字通りシェル部分への入り口が後ろにあるということ。リビング部分が広く作れることとドアを開け閉めしてもリビング部分が丸見えにならないのがメリットだ。
キッチンやマルチルームを後方にまとめてリビングが広々。冷蔵庫や電子レンジが入口近くに設置されるので、アウトドアリビングでくつろいでいるときでも使いやすい。
▼ ジープニーRE&モビーDCのポイント
利用可能人数:7人乗り、5人就寝車両サイズ:4990×1920×2800mmマルチルーム:あり標準快適装備:ルームエアコン、冷蔵庫、電子レンジ標準電装装備:100Ahサブバッテリー×3、1500Wインバーター価格:812万9000円~
コルド ドッゴ/VANTECH【全長4990×全幅1980×全高2960mm】
ナッツRVと並ぶ国内本格キャンピングカー製造大手VANTECHにもコンパクトモデルが。コルドドッゴはコルドという既存モデルをベースにした特別仕様で、ワンちゃんとの旅に徹底して特化した。キャンピングカー業界のエアコン需要の多くはペット旅ユーザーから生まれているので、だったらほかの部分も徹底的にペット目線にしてあげたらいいじゃんというのは慧眼だ。
シート生地がキズや汚れに強いはっ水仕様なのは当然、ワンちゃんの目線の高さに合わせた専用窓や、毛を吸い込みにくくする専用の吸気口、ボディにはリードを取り付けられるフックまで用意されている。絶対に切らせないエアコンも6kWの大容量リチウム電池とソーラーパネルで万全の構え。
▼ コルド ドッゴのポイント
利用可能人数:6人乗り、5人就寝車両サイズ:4990×1980×2960mmマルチルーム:あり標準快適装備:ルームエアコン、冷蔵庫、FFヒーター、電子レンジ標準電装装備:2kWhリチウムイオンサブバッテリー✕3、インバーター、240Wソーラーパネル価格:1140万円~
リバティ50DB/アネックス【全長4990×全幅1950×全高2830mm】
リバティも歴史のあるキャンピングカーのシリーズだ。52DB、52SPというモデルが先にあり、その小型版がこの50DBとなる。小さくなったがアネックスらしいホテルライクな上質インテリアはそのまま、お値段を抑えた。
あえてエアコンはオプション装備にしたが、このオプションがエアコン電子レンジ大容量バッテリーなど盛り盛りできて、さらに外装色まで選べるというめちゃくちゃコスパの高いパッケージになっている。エアコンレスでお安くゲットするか、超お得なエアコンつきパッケージを選ぶか、どちらに転んでもおいしい選択だ。
リバティ50DBのポイント
利用可能人数:7人乗り、5人就寝(大人3人+子供2人)車両サイズ:4990×1950×2830mmマルチルーム:あり標準快適装備:※ルームエアコンはオプション標準電装装備:100Ahサブバッテリー価格:972万円~
ZiL/VANTECH【全長5160×全幅2060×全高2950mm】
国産キャンピングカーの代表格「ZiL」。何十年と続く老舗の1台は、毎年細かな改良が加えられている。2024年モデルでは使いやすい室内装備はそのままに、徹底的にこだわりぬいた照明設備を採用。
ダウンライトや間接照明使いが洗練された室内。実物はこれの100倍美しい
大型のスモークタイプのアクリル2重窓や運転時に便利なデジタルインナーミラーなど、パーツも細かく刷新されている。当然レイアウトの完成度は折り紙つきなので、安心して購入できる。
ZiLのポイント
利用可能人数:6~7人乗り、5人就寝車両サイズ:5160×2060×2950mmマルチルーム:あり標準快適装備:ルームエアコン、FFヒーター、冷蔵庫、温水装置標準電装装備:100Ahサブバッテリー×3価格:1180万円~
ニンジャ/ダイレクトカーズ【全長5160×全幅2060×全高2950mm】
「なんだこれ!?」と驚かずにはいられないこのギミックたち。あんなところやこんなところから収納庫が繰り出される。入口から入ったと思ったら、車両後部のバゲッジドアから姿を現す。ニンジャはダイレクトカーズの意欲作だ。
キャッチーな見た目に反して、室内はシックなラウンジ調というのも面白い。アールのついた家具で広さが強調されていて、レイアウトはリアエントランスで間違いなく使いやすい。遊び心と実用性がほどよくミックスされている。
ニンジャのポイント
利用可能人数:7人乗り、5人就寝車両サイズ:5160×2060×2950mmマルチルーム:あり標準快適装備:ルームエアコン、冷蔵庫、温水装置標準電装装備:400Ahリチウムイオンバッテリー、1500Wインバーター、400Wソーラーパネル価格:1298万円~
トリップ ブラックエディション/ダイレクトカーズ【全長5160×全幅2060×全高2950mm】
トリップはダイレクトカーズがヨーロッパテイストを斬新に取り入れて展開する上級路線で、冷蔵庫容量100ℓ冷凍庫も48ℓ、ソーラー充電や温水装置も標準装備という本気のグランドツアラーである。ナチュラルテイストのモダンなインテリアのノーマルタイプに対し、ブラックエディションはよりシックな室内装飾。
窓がパカっと開くリビング。今すぐ景色の良いところへクルマを走らせたくなる。この後ろにタテに常設ベッドを置いているのがレイアウトとしては珍しい。さらにバンクベッドを跳ね上げると大型テレビモニターがくっついているという使い勝手もインパクトも抜群のギミックも装備。ダイレクトカーズは国産キャブコンメーカーとしては後発だが、柔軟な発想で次々新機軸を打ち出してくるので目が離せない。
トリップ ブラックエディションのポイント
利用可能人数:7人乗り、6人就寝車両サイズ:5160×2060×2950mmマルチルーム:あり標準快適装備:ルームエアコン、冷蔵庫、冷凍庫、電子レンジ、FFヒーター標準電装装備:300Ahリチウムイオンバッテリー、2000Wインバーター、ソーラーパネル価格:1590万円~
トリップ ログベース プレミアムエディション【全長5160×全幅2060×全高2950mm】
トリップログベースは国産キャンピングカーとしては待望のスライドアウト機構を搭載して登場し話題となった。上で紹介したトリップ同様グランドツアラーとしての機能を持たせつつ、プレミアムエディションは高級クルーザーのような室内が圧倒的。
めちゃくちゃかっこいい。ダイレクトカーズはカスタムパーツブランドBLUMEも擁しているだけあり、オシャレを作らせてもレベルが高い。オプションもういらんだろというくらい標準装備であれこれ積んでいるのでお値段は1890万円~となかなかだが、唯一無二の存在だ。
トリップ ログベース プレミアムエディションのポイント
利用可能人数:7人乗り、5~7人就寝車両サイズ:5160×2060×2950mmマルチルーム:あり標準快適装備:ルームエアコン、冷蔵庫、冷凍庫、電子レンジ、FFヒーター標準電装装備:600Ahリチウムイオンバッテリー、2000Wインバーター、355Wソーラーパネル価格:1890万円~
エースG/エートゥゼット【全長5170×全幅2180×全高2890mm】
エートゥゼットが2024年にスタートした新シリーズ「エースシリーズ」。エースGはスライドアウト機構をつけることで車内の広がりを確保した。現行の国産キャンピングカーでスライドアウト機構を設けているのはトリップとこのエースGの2車種のみではないだろうか。
その効果は絶大で、無垢材の家具に囲まれた広々空間はまるでアメリカンキャンピングカー。窓が大きく、運転席頭上のバンクの部分にも大型採光窓があるので室内の贅沢感はこの上ない。エアコンや電子レンジ、ヒーター&ボイラーシステムなど快適装備も一通り標準装備。
エースGのポイント
利用可能人数:7人乗り、6人就寝車両サイズ:5170×2180×2950mmマルチルーム:あり標準快適装備:ルームエアコン、冷蔵庫、電子レンジ、ボイラー&ヒーター標準電装装備:200Ahサブバッテリー×2、3000Wインバーター価格:1078万円~
リバティ52DBi/アネックス【全長5230×全幅2070×全高2880mm】
アネックスのフラッグシップリバティ52DBの新型である「リバティ52DBi」。シェルの部分を海外生産するメーカーは多いが、アネックスは古くから培った技術を生かして美しい国産仕上げだ。塗料には遮熱性能のあるものを選び、断熱性能を底上げしている。
キー連動のイージークローザー機能付きのエントランスドアを開け、電動ステップで快適に室内に入ると、調度品類は高機能で高品質。採光も計算されていて明るく美しい。高断熱のボディにさらに床暖房まで装備しているので、通年快適だ。
リバティ52DBiのポイント
利用可能人数:7人乗り、5~7人就寝車両サイズ:5230×2070×2880mmマルチルーム:あり標準快適装備:ルームエアコン、冷蔵庫、冷凍庫、電子レンジ、床暖房標準電装装備:200Ahリチウムイオンバッテリー、2000Wインバーター、250Wソーラーパネル価格:1364万円~
ここまで11台のカムロードベースキャンピングカーを紹介してきた。2024年夏にはいすゞより「国内唯一のAT限定免許でも乗れるディーゼルトラック」としてエルフミオが登場し、それをもとにしたキャンピングカーベース車「Travio(トラヴィオ)」も発表された。2025年以降はトラヴィオが台風の目となるか、それともやっぱりカムロードだよねに落ち着くのか、目が離せない。