キャンピングトレーラーはけん引免許不要のコンパクト系が狙い目。2024年デビューのけん引免許不要タイプ6台
2024年も多彩なキャンピングカーが登場し、ユーザーに新たな選択肢をもたらした。ここではオートキャンパーがこの1年で掴んだ新型キャンピングトレーラー情報のうち、けん引免許不要なコンパクト系モデルを紹介する。
そもそもキャンピングトレーラーって何?免許は?ナンバーは?車庫証明は?
キャンピングトレーラーって何?なにが良いの?
トレーラーにはエンジンがないのでそれ自体では動かない。普通の自動車に引っ張るための装置「ヒッチメンバー(トーバー)」を装着してけん引する。ちなみにトレーラーを引っ張る自動車はヘッド車と呼ばれる。
自走式ではなくキャンピングトレーラーを選ぶメリットはいくつかあって、まず室内が圧倒的に広い。小型のモデルでもハイエースと同じくらいの長さと幅があるが、運転席などがないためボディサイズがまるまる居住空間になるうえ、ほとんどのモデルで室内高は2m弱は確保されていて室内で立てる。
さらにキャンプ地で設営を終えたあとでもヘッド車だけで移動ができる。買い出しや温泉に行くなどの際に撤収不要で動き回れるのは大変身軽。RVパークなどを拠点にして周辺観光はヘッド車だけでといった使い方もできるので、使い方がハマれば最強だ。
キャンピングトレーラーにはエンジンなどがついておらず、けん引するクルマ(ヘッド車)が必要になる。トレーラーが大きくなればそれを引っ張るヘッド車もパワフルなものが要求される
キャンピングトレーラーを引くのに特殊な免許は必要?
キャンピングトレーラーというと「けん引免許」の話が必ずついて回る。これは車両重量が750kg以上のトレーラーを引く際に必要となる免許で、それより軽量なモデルなら普通自動車免許のみで大丈夫。この記事のタイトルにもあるように現在は750kg未満のキャンピングトレーラーに多彩な選択肢があるので、最初の一歩を踏み出すにはかなり良い環境だ。
トレーラーはバックのときにちょっと注意が必要。キャンピングトレーラーの専門店ならけん引の体験や運転レクチャーもしてくれるのでプロの手を借りよう
キャンピングトレーラーのナンバーは?
エンジンはなく運転はできないがトレーラーも「車両」という扱いになっている。そのため公道に出るには必ずナンバー登録が必要になる。小さいモデルだとちゃんと黄色の「軽トレーラー」という枠になるし、自走式のキャンピングカー同様に、キッチンやベッドがついているものは8ナンバーに、カーゴ的なものは4ナンバーになる。ちなみにナンバーがあっても走行中はトレーラー内に乗ることは法で禁じられている。
ナンバーがあるので車庫証明なども普通の自動車同様に取得する必要がある。近年のコンパクト系はけん引免許不要な軽量なだけでなく、一般的な駐車場枠の5×2mに収まるサイズ感も意識されているため、そういう意味でも今はキャンピングトレーラー始めにはかなり恵まれた環境だ。
2024年デビューのけん引免許不要トレーラー6選
けん引免許不要モデルを多数展開するインディアナ・RVの降旗克人氏(写真右)。けん引試乗体験も展示場で積極的に開催されている
近年の日本のキャンピングトレーラーシーンでもっとも高い人気を誇っているのが普通免許でけん引できる重量750kg以下のモデル。けん引免許が要らないし、軽いだけあってサイズも小さいので日本の道路でも比較的簡単に運転できるのだ。ありがたいことにこのジャンルは年々バリエーションが増えていて、今年は大きなバックドアを持つトランポタイプなども登場した。
ミニ 290/トリガノ【2人就寝タイプ】
一般的な駐車場枠5m×2mにおさまる優秀コンパクト
フランス・トリガノグループのミニ290は全長が4.5m以下という小ささが魅力。さらに全高も1980mmと低く、一般的なカーポートにも収められることから都心部でも維持がしやすい。それでいて、いざ室内でくつろぐ先には室内高を1920mmまで増やせるのは屋根部分に装着されたポップアップルーフのおかげ。
室内はファブリックのターコイズブルーの差し色や、白色&ナチュラルな室内カラーによって圧迫感はない。キッチンやトイレルームもしっかり装備されている。ベッドはリビング部分を変形させると完成。ベッドサイズは1900×1400mmでお家のベッドでいうとセミダブルくらいのサイズ。大人2人旅もしくはペットや小さなお子さんと一緒に旅するにはちょうどいい1台だ。
車内最後部にあるキッチン。シンクもコンロもカバー付きで高級感がある。ビルトイン式の冷蔵庫つきだ車両の後ろ側にキッチンと洗面台付きのトイレルーム、前方に3面採光の明るいリビングという間取り。ワードローブや上部収納も充実しているのが嬉しい
インディアナ300SF/ニワドー【4人就寝タイプ】
自転車なども積めるバックエントランスタイプ
インディアナ300SFは、インディアナ・RVがポーランドのニワドー社に製造を依頼している日本特別仕様シリーズの1つ。北国ポーランド産だけあって北欧レベルの強力断熱がなされていたり雨音やひょう害に強いガラス繊維強化プラスチックが使われているなど、小さいが基本性能は高スペックなのが特徴だ。シリーズのなかで、この300SFのみ入口が車両最後部なのが特徴だ。2段ベッドがあり、リビング部分のベッドと合わせて最大4人が寝られるためファミリーでも使える。
小さいボディだが2段ベッドだけでなくキッチンもマルチルームもついていて、シリーズの欲張りセットのような存在だ。その分各部がちょっとずつコンパクトになっていて2段ベッドのサイズは上下段とも1720×600mm。小柄な方や子どもなら問題なし。
ベッド部分は窓やダウンライトがあって上質な雰囲気。3人以上の旅ならリビング部分もベッドに展開する必要があるが、2人旅ならこちらを寝室にしてリビング部分はテーブルのままにしておくことも
インディアナ300SN/ニワドー【4人就寝タイプ】
2段ベッドとクローゼットつき。トイレ不要ならこちらを
インディアナ300SNは上で紹介した300SFの兄弟車だ。こちらは左エントランスで、2段ベッドがありつつ、マルチルームのかわりにクローゼットが用意されている。
2段ベッドは上下段とも1900×550mm、リビングのベッドは1900×1180mmと大人がゆとりを持って寝られるサイズ。クローゼットのおかげで収納もしっかり。2段ベッドとテーブルは車両の両端に分かれている上に2段ベッドにはカーテンがついているので、子どもは先に寝て大人はリビングでゆっくりといった時間差のある使い方もできそう。
収納がたっぷりとれているキッチン部分。ビルトイン冷蔵庫もついてくる
GX350 グランドクロス/タコス【最大5人就寝タイプ】
荷物も人もたくさん積めるコンパクトトレーラー
国産キャンピングトレーラーであるGX350 グランドクロスは、世界的な自動車部品の大手サプライヤーであるALKO社のシャシー(シェルを載せている台車の部分)に、高断熱なパネルでシェル(おうちの部分)を搭載して作られている。特徴は入口とは別に大きなバックドアが設けられていること。下の写真はバックドア側から室内を撮影している。
これだけボカンと大きな開口部があるので、大きな荷物もガシガシ積み込める。バックドアは大きな1枚板ではなく左右の観音開きなのも使いやすい。荷物スペースを多くとるために手前側のテーブルスペースは折りたたみ式でスリムに、トイレルームやキッチンなどは奥側にまとめたレイアウトもユニーク。
折りたたんでいたテーブルやシートを戻した状態。車両右側には2段ベッドもついている。トレーラー最前部にもベッドがあり、最大で5人分のベッドを用意している観音開きバックドア、折り畳める二の字シート、キッチンとトイレルームを挟んで最前部に常設ベッドというちょっとおもしろいレイアウト。最前部のベッド下も巨大収納。たくさん荷物を積んでみんなでワイワイキャンプやアウトドア遊びをしたい
エメロード376/トリガノ【最大5人就寝タイプ】
前後2つのリビングスペースがマルチな使い方を可能にする
エメロードとはインディアナ・RVがフランスの巨大キャンピングカービルダー・トリガノ社に特注しているインディアナ専用のシリーズで、世界でここでしか買えないレアモデルだ。大メーカーの世界クオリティで日本向けに室内レイアウトや装備、シェルの素材などカスタムして製造されていてお得感はこの上ない。そんなエメロード376の特徴は車両の前と後ろの両方にテーブルスペースがあるところ。まずは車両前方のメインリビングから。
明るい光が差し込んでくつろいだ雰囲気。北欧風のナチュラルな色合いで室内もゆったりして見える。続いて後ろのリビング。こちらは1名ずつでパーソナルなイメージ。実は上の棚を下ろすと2段ベッドになる。もちろん前のリビングもベッドになるので、2か所にリビングとベッドがある作りなのだ。
2段ベッドに変形する後部リビング。もし2人旅ならこちらを2段ベッドにして前方リビングはテーブルに固定したまま1日を過ごせるキッチンとトイレルームを挟んで2つのリビングがあり、人数や生活ペースに合わせてさまざまな使い方を許容する懐深いレイアウト。トイレルームには温水シャワーやトイレも完備されているのでしっかり使えるところも好印象だ
エメロード406/トリガノ【最大5人就寝タイプ】
嬉しい左エントランスで2リビング2ベッド
エメロード406は上で紹介したエメロード376の兄弟車。エメロード376は全長5400mmに対して406は5510mmなのでちょっとだけ大きい。最も大きな違いはエントランスが車両左側についていることで、移動中はトレーラーに乗ることはないとはいえ、荷物の出し入れなど考えるとやはり左エントランスは嬉しい。
室内は376同様に2つのリビングがあり、ベッドのうち1つが2段ベッドになるのも376と同様。トイレルームもあり、キッチンやクローゼットも完備。376はキッチンとトイレルームを挟んで両端に2つのリビングがあったが406がそれらがL字に構成されている。間取りの好みで選びたい。
メインリビングは対面式ではなくコの字シートになっている。このサイズのキャンピングトレーラーでコの字リビングは貴重左エントランスと2リビングがL字になるのがポイント。376と406は何人で使うか、それぞれの就寝タイミングが違うかといった条件と、あとは好みで選ぼう
ここまでけん引免許不要のキャンピングトレーラーを6台紹介してきた。キャンピングカーカタログではさらに80件以上の日本国内で買えるキャンピングトレーラーを紹介しているのでぜひご覧いただきたい。