キャンピングカーで「日本列島RVパークの旅」⑬ RVパークsmart 弓ヶ浜いち番館（静岡県）【連載】

キャンピングカーや車中泊仕様車でどこに泊まれるのかというと、道の駅や有料道路のパーキングを連想しがち……。でもこれらの場所は、休憩のための仮眠はオッケーでも宿泊できる場所ではありません。そこで利用したいのが、RVパーク。キャンピングカーの製造メーカーやディーラーで構成される日本RV協会が設置を進める「快適で安心して車中泊できるスペース」のことで、入浴施設やトイレ、電源設備などが備わります。実際にオートキャンパー WEB編集部が全国各地のRVパークに実際に泊まってその魅力をお伝えします。なお、2024年2月13日現在、日本全国にRVパークは413カ所ほど存在しています。

伊豆半島最南端に位置するビーチそばのRVパーク

静岡県、伊豆半島。伊豆は静岡県の東部、神奈川県との県境から太平洋に向かって南側へと突き出した形状の半島で、南北に60㎞、東西に40㎞広がったエリア。ここ伊豆半島は約2000万年前では海底にある火山群だったのが、その下にあるフィリピン海プレートが本州下のユーラシアプレート下へと沈み込み、フィリピン海プレート上にある海底火山や火山島はプレートとともに北へ移動。おおよそ100万年前に本州へと衝突すると、本州といくつもの火山島の間にある海を埋め、約60年前に現在のような形を作るようになったと言われている。そんな経緯で誕生した伊豆半島は2018年にユネスコの世界遺産に認定され、太古の火山が生み出した独特の地層をはじめ、見所が多数存在する。

１番と２番の区画は隣並びで縦向き駐車、３番は横向きでの駐車。３番は地面が若干傾斜しているので車両を平行にするレベルアップやジャッキがあると快適

なかでも伊豆半島の南の先端である南伊豆エリアは美しいビーチが数多く、特に夏場は人気のスポット。南伊豆までのアクセスは、相模湾のある東側からなら熱海や伊豆高原、下田といった観光スポットが数多い国道135号を南下。駿河湾のある西側なら国道136号を利用して行けるが、こちらは道が細くなっているところも多いので大型車は運転に注意したい。手軽なのは伊豆半島の中央にある「伊豆縦貫道」。伊豆縦貫道は静岡県の沼津市と下田市を南北に結ぶ延長約60kmの道路で、全面開通とはなっていないため一部国道を利用するがキャンピングカーでの運転も海沿いのルートよりは疲労が少ない。 RVパークsmart弓ヶ浜いち番館はビーチから徒歩５分というアクセスのよさが光るパーク。RVパークとは若干異なり、RVパークsmartはインターネットで事前に予約し利用料金支払いを済ませ、利用する当日に予約完了後に表示されるQRコードを現地のQR読取機に読み取らせることで、設定された利用時間の間に電気が給電される無人車中泊サービス。支払いをはじめチェックイン・アウトもスムーズに行なえる。

RVパークsmartは写真の読み取り機にスマホなどでQRコードを読み込ませてチェックイン。チェックインが完了すれば横にあるAC電源が利用できるようになる

パーク内にはシャワーブースが２箇所用意されており、海水浴などを楽しんだあとも心配なし。炊事場などの水場はないので注意

トイレは「スナックサンライズ」の建物に併設。もちろん24時間利用可能

RVパークsmartのほか、事前予約すれば温泉やスナックなど系列施設の利用も可能

パークの利用台数は３台までで一区画のサイズが長さ６ｍ・幅３ｍ。サイズからもわかるように大型のキャンピングカーは利用が不可でキャンピングトレーラーにも対応していない。

それと、１番・2番の区画は比較的平らだが３番のみやや斜面になっているので、レベルアップのようなアイテムがあると便利だ。パークの敷地には「スナックサンライズ」が併設されていて、ピザや焼きそばなどの軽食やドリンクをはじめカラオケなども楽しめる。

ここのパークやスナックは弓ヶ浜ビーチから徒歩1分にある和風ペンション「弓ヶ浜いち番館」の系列施設。パークにはシャワーやトイレも備わっているが、事前に予約をしておけば宿泊施設に併設されるお湯処「龍権の湯」の貸し切り利用（大人１人1000円）も可能。ここは源泉100%の温泉で、家族で利用するのにちょうどいい広さ。さらに露天風呂も備わり、天気が良ければ夜空を眺めながらゆったりと湯船に浸かって休める。

パークの関連施設である和風ペンション「弓ヶ浜いち番館」には、「龍権の湯」も併設。取材時は日帰り入浴を休止していたが、パーク利用者は事前予約で利用が可能（有料）

温泉は３室あり、すべて貸し切り。２室は内湯のほかに露天風呂も備わる

１〜２人にちょうどいいサイズの露天風呂。温泉はすべて源泉かけ流しで、泉質はナトリウム・カルシウムの塩化物泉。神経痛や関節痛、やけど、疲労回復などに効果が期待される

パーク敷地内にある「スナックサンライズ」ではカラオケや軽食も楽しめる

マリンアクティビティや新鮮な海の幸が存分に楽しめる

パークそばにある弓ヶ浜ビーチは弓形に弧を描く海岸で、その長さは約1.2㎞。遠浅かつ波も穏やかで、「日本渚100選」「日本快水浴場100選」「伊豆三大美浜」にもなっておりその美しさは折り紙付き。７〜８月の海水浴シーズンは多くので賑わうので早めの予約が肝心。ただただのんびり海を眺めてのんびりするだけでも癒やされるし、海岸線を散歩するのもお薦め。

弓ヶ浜ビーチには市営駐車場があり夏場の繁忙期以外は無料で駐車可能。浜辺の散歩はもちろん、海を見ながらのんびりとするのもおすすめ

ビーチのそばには食事処も多いので食事に困ることもないだろう。自炊派には漁協の直売所や道の駅、スーパーにコンビニがクルマで10分以内の位置にあるため買い物するにも便利。

観光は半島最南端に位置する石廊崎をはじめ、パワースポットで知られる龍宮窟などが人気。また、シーカヤックやSUP、シュノーケルなどマリンアクティビティや釣りが充実しているので、こうした遊びの基地としてパークを利用するのもありだろう。

石廊崎は伊豆半島の最南端にある岬

石廊崎は海底火山が生み出した100mもの高さがある断崖絶壁と美しい海原を一望できる眺望の良さが特徴

石廊崎へのアクセスには石廊崎オーシャンパークに大規模駐車場が便利。ここでは土産店やカフェなども併設。ここから石廊崎灯台や石室神社や熊野神社などへ徒歩で行くことが可能。パークからはクルマで約20分

パワースポットとして人気の龍宮窟。直径約50mの天窓が広がる洞窟は、下から見上げると天井部分にぽっかり穴の空いているのが特徴。地層の弱い部分が波の力で時間をかけて削られ洞窟になり、そこへ天井の一部が崩れたことで天窓が誕生。上は遊歩道になっていて歩くこともできる

南伊豆はマリンアクティビティが大充実。海面をすべるように進むシーカヤックは腕力もそんなに必要とすることなく、自然を眺め感じることができるアウトドアスポーツとして人気。ここワンダフルワールドでは初心者でも楽しめるさまざまなツアーを用意。乗り方や漕ぎ方はもちろん、南下田の環境や魚の話なども聞くことができ充実した１日が過ごせる。「カヤックリゾート南伊豆
ワンダフルワールド」静岡県下田市吉佐美1882-29　　0558-23-0468　http://wonderful-world.net/

弓ヶ浜ビーチの目の前にある「青木さざえ店」は「弓ヶ浜いち番館」の親戚が経営されている畜養場も持つ卸問屋

「青木さざえ店」では海産物直売コーナーのいけすから直売価格の新鮮な海の幸を選んで卓上コンロにて焼きなが食事も可能

「青木さざえ店」の獲れたてのアワビを使った丼（2200円）は味も歯ごたえも抜群！　18時までの営業なので夕食に行きたい人は注意

RVパークから徒歩１分にある「食事処斉」は20時まで営業。こちらも新鮮な魚介が味わえる人気店

伊豆最南端の道の駅「下賀茂温泉湯の花」（静岡県賀茂郡南伊豆町下賀茂157-1 　0558-62-0141）。駅舎の雰囲気もよく、のんびりとした南伊豆の気候にぴったり。足湯「湯の花」はぜいたくに源泉かけ流しでほっこりと癒される

道の駅のなかの湯の花直売所では毎朝新鮮な野菜が並び地元をはじめ多くの旅客にも人気

伊豆漁協・南伊豆支所には直売所も併設されており、新鮮なサザエやアワビ、伊勢エビなどのほかに干物なども購入可能。自炊派やお土産などを買うのにお薦め。静岡県賀茂郡南伊豆町手石877-17　 0558-62-2804

周辺の飲食店など閉店時間が早いところが多いが、「マックスバリュ下賀茂店」は22時まで営業しているので、夜にチェックインする人は覚えておきたい。静岡県賀茂郡南伊豆町下賀茂字日詰257-1 　0558-62-1000

実際にパークを利用してみて、事前予約していた温泉が想像以上に心地よく旅の疲れもしっかり癒やしてくれさらに肌も潤ったのが実感できた。また、早朝のビーチはサーフィンを楽しむ人が多くいて賑やかだったのだが、パークはビーチから少し離れていることもあってのんびりとくつろげるのも良かった。オーニングを出したりできないのは残念だったが、遊びや観光など南伊豆を巡るのには買い物や食事などすべてにおいて便利なパークでした。