ナッツRV新型車ゼニアはどんなキャンピングカー?“国産最高峰”モデルをデュカトで作る
2024年2月2日(金)〜2月5日(月)に千葉県の幕張メッセで行われるジャパンキャンピングカーショー。注目展示の1つとなりそうなのが、ナッツRVが展示するデュカトL3H2ベースの「ゼニア」だ。
「ゼニア」は、その抜群の乗り心地と贅沢に確保された居住空間から“最高峰の国産キャンピングカー”の呼び声高い同社のセミフルコン「ボーダーバンクス」のコンセプトを、より扱いやすい全長6mの車体に落とし込んでいるという。いったいどんなクルマが誕生するのか? 同社の営業本部長・土屋 慎氏の解説を交えながら予想していこう。
抜群の乗り心地と十分な居住空間!! フラッグシップモデルに妥協ナシなのが「ゼニア」
デュカト元年となった昨2023年、これまでは輸入キャンピングカーとしてしか扱われていなかったが、2022年から新たにベース車として国産ビルダーに供給されるようになり、各社から架装されたモデルが続々と登場した。
ナッツRVもその1社で、フォルトナという車名でタイプMとCをリリース。デュカトには3タイプのボディサイズがあるが、フォルトナではL2H2という全長約5.4mのモデルを使用している。ベース車としては、ハイエースのスーパーロングと大差ない長さだが、全幅は2mを超えるし、何よりも室内高が1970mmもあるので居住性は抜群にいい。国産車ベースにはない、新たな架装形態が施せた。
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今回、ゼニアに新たに採用したのは同じデュカトでもより全長が長い、約6mのL3H2というボディタイプ。フォルトナでも余裕のレイアウトであったが、新型のゼニアは全長が長くなるのでより自由な作り込みが可能となる。
「新型車を開発するにあたってモチーフとしたのは当社のフラッグシップモデルであるボーダーバンクス(以下ボーダー)です」
と言うのはナッツRV 営業本部長の土屋 慎氏。
ナッツRV 営業本部長 土屋 慎さん。全国各地で開催されるキャンピングカーショーでの陣頭指揮から営業まで、ナッツRVの大本営を仕切る。日々、ユーザーの希望するモデルを提供できるように努力している。
ボーダーは2007年にリリースされたセミフルコン。その当時はあまり主流でなかったマイクロバスのボディをカットしてシェル架装したモデル。抜群の乗り心地のよさと十分な居住空間、フラッグシップにふさわしい仕上げから、最高峰の国産キャンピングカーとされている。
「ボーダーは2タイプのラインナップがあります。リヤツインベッド仕様のTと広々としたダイネットのLです。ゼニアはいずれもモチーフとして2モデル出展するほか、両車の作り込みをかけ合わせたレイアウトとしてTLを予定しています」
ということは車内前方はダイネット、デュカトならではのフロントシートの回転機構によるセカンドシートとの対面となるはず。中央にマルチルームを配置してリヤは常設ベッド。タイプにより違いはあるだろうが、基本的なレイアウトはこのようになると想像できる。
「デュカトを使うのは安定供給のため」
「デュカトを使うのは安定供給のためでもあります。国産車の場合、ちょっとしたマイナーチェンジが行われるだけで受注停止。こうなると次の入荷まで数カ月を要しますし、その都度価格が上昇する。その点デュカトは安定しており、昨年からの入荷状況をみても、毎月一定台数が入ってきています」
現時点では内装に関してもある程度決まっている。それがPVC仕上げの家具だ。これはナッツRVがいち早く取り組んだ工法で、国産ビルダーとしては先駆者的な存在。欧州車では一般的な作りなのだが、見た目のよさと軽量化、経年による劣化が少ないのが特徴だ。明るい木目調は、高級感と清潔感を与える。
また、デュカトは車両サイズの大きさからキャブコン並みの架装が施せると好評だが、ボディー構造はバンそのもの。鉄板の外板でインナーパネルはない。
「フォルトナの開発時には断熱性を最初に考えました。そうしないといくら冷暖房機器を装備しても効果が出ませんから。シェル工法とは違う、より断熱性能の高い素材をと、数種類の断熱材を試験し、もっとも結果のいいものを採用しています」
「どんなクルマかショー当日に期待してください」
さらに重視しているのが電装系。ナッツRVでは独自のシステムをいち早く構築。高効率な充電装置と大容量サブバッテリー、リチウムイオン電池の採用と年々進化してきた。
「ゼニアの電装システムについても、デュカト専門チームが開発にあたっています。車両コンセプトやユーザー層を想定して、どんな装備が必要なのか、そのためには電装はどんなシステムにするのが最適か。仕上げやレイアウトも含めて、ショー当日に期待してください」
ベース車両「デュカトL3H2」とは?
デュカトは、イタリアを代表するカーブランド・フィアットが商用車として販売する車両。約180馬力のハイパワーを誇り、欧州ではかねてよりキャンピングカーのベース車として人気を集めている。
2022年からは日本国内でも正規販売の取扱いがスタートしたことで、国内架装キャンピングカーベース車の新たな選択肢としても注目が集まっている。L2H2(標準)、L3H2(ロング)、L3H3(ロングハイルーフ)といった3タイプのボディサイズがあるが、今回「ゼニア」に採用されたのは標準より全長の長いL3H2(ロング)タイプだ。主要諸元は以下の通り。
デュカトL3H2 主要諸元
全長:5995 全幅:2050 全高:2525 室内高:1970 ホイールベース:4035 (単位:mm)
エンジン・排気量:直4ディーゼルインタークーラー付きターボ・2184cc
最高出力:132kW(180ps)最大トルク:450Nm (45.9kgm)
既存モデルの進化にも注目!! ボーダーバンクスシリーズ&フォルトナ
軽キャンからセミフルコンまで幅広いラインアップを持つのも、国内最大級のキャンピングカー製造メーカーであるナッツRVならでは。新登場の「ゼニア」だけでなく、既存の「ボーダーバンクス」や「フォルトナ」シリーズもジャパンキャンピングカーショーで進化した姿をお披露目する。
ボーダーバンクス タイプT
ダイネットは対面式で大人4人がゆったりと着座可能。ここと対面する位置にキッチンを備えるが、長大なカウンタータイプ。上部には液晶テレビも配置できる。リヤに特徴があり、基本は左右シングルのツインベッドで、中央に補助マットを置くとフルベッドになる。下部は大きな外部収納庫となっており、3カ所のバゲッジドアからアクセス可能。落ち着きのある車内トーンも特徴だ。
▼ボーダーバンクス タイプTについて詳しくはこちら
ボーダーバンクス タイプL
ダイネットを最優先したレイアウトで、横座りの対面式シートを採用。右側に4人、左に2人が着座できるゆったりサイズ。前方視界はもちろん、左右には大型の窓があるので採光性に優れた開放的な空間となっている。キッチンは後部でマルチルームと対面した配置。最後部はハイマウント形式の常設ベッド。横置きのセミダブルサイズ。下部の外部収納庫には車内外からアクセス可能だ。
フォルトナ
フロントシートの回転機構を利用して、セカンドシートと対面するダイネットを設定。 リヤは横座りの対面式ダイネットで、上部にはオプションのプルダウンベッドが備えらえる。タイプMは大人でも余裕で入れるサイズのマルチルームを装備。タイプCは縦長キャビネットで、フロントダイネットの足下空間が広々としている。PVC仕上げの家具は、濃淡2色のトーンが用意されている。
キャブコンも進化中!! ジープニーシリーズにリヤエントランスが登場
一般的な駐車場に収めることができるサイズが特徴の本格キャブコン「シープニー」シリーズ。
現在はリヤにハイマウント形式の常設ベッドを備えた「タイプX」と、同じくリヤに常設2段ベッドを配置する「タイプW」の2モデルをラインナップ。 新たに加わる「RE」は、エントランスを後部にした分だけダイネットに余裕ができ、対面式シートとサイドソファでの構成となる。開放的でゆったりできる空間。キッチンは最後部で十分な大きさのマルチルームを配置するのも特徴。車内トーンは従来どおりとなる。
ジープニー(写真はタイプX)