バンコンのエアコン、新たなトレンドは「薄型」か?
日本ではキャンピングカーのエアコンとして、車載用に作られたエアコンではなく、ルームエアコンが採用されているモデルを目にする。そしていま各社から発表されるモデルに次々と採用されているのが、薄型ルームエアコン。価格はほかのルームエアコンと比較して高価だが、なぜ今選ばれるのか。
たくさんの選択肢があるキャンピングカーのエアコン
特に夏の暑さが厳しくなってきた近年。いよいよエアコンはキャンピングカーに欠かせない装備になってきた。キャンピングカーに採用される空調機器には、普段の生活でもおなじみなルームエアコンのほか、クルマに搭載することを前提に設計・製造された車載クーラーや天井に取り付けるルーフエアコン、窓に取り付けるウインドウエアコン、そして電源さえあればどこでも使えてコンパクトなポータブルクーラーなどの種類がある。
それぞれ特徴があるが、キャブコンやバンコンによく採用されているのがルームエアコンだ。普段の生活で慣れているので、操作の方法がわかりやすく、しっかり冷やせるパワーがある。それに最近のモデルは省エネ性能が高いのもポイントだ。そして自動お掃除機能なども多く装備されるようになり、大型のものも増えている。そんな流れのなかでキャンピングカーに採用されはじめたのが、そういった機能のない薄型に特化し、本体に装着するパネルで色を選べるエアコン、ダイキンの「リソラ」なのだ。
薄型エアコン搭載の背景は?
国内最大手ビルダーは最新バンコンに採用
国内最大手ビルダーの1つ、ナッツRVの人気バンコンシリーズ「リーク」の最新モデル「リーク3」。ハイエーススーパーロングをベースにし、最大7人前向き乗車・4人就寝が可能だ。さらにナッツRV独自の電装システム「エボライト」を採用しているこのモデルも「リソラ」を搭載したモデルの1つ。
ナッツRVで広報を務める土屋さんに「リソラ」を導入した背景を伺った。
「車載用12Vエアコンという選択肢もありますが、どうせつけるならしっかり冷やせる100Vの家庭用ルームエアコンを、というところからスタートしました。」
「そしてバンコンの室内の居住性を考えても、上部に設置した(一般的な)ルームエアコンの出っ張りによる圧迫感で、限られたバンコンの室内を更に狭くしている車両を多く見てきました。」
ハイエースやキャラバンといったベース車が主流で、機動力がありつつ使い勝手がいいも、限られた室内空間なのがバンコンだ。その特性を踏まえ、より使い手に寄り添ったモデルを考え抜いた結果、薄型エアコンの採用に至ったそう。もちろん実際のモデルへの搭載にたどり着くまでには、しっかり検証に取り組んだそうだ。
個性的なモデルで注目のダイレクトカーズは、2車種に採用中
BR75がグッドデザイン賞を受賞し、ますます注目度の高まるダイレクトカーズも、「BR75」、そして10月に発表された新モデルの「オフィスカー」の2モデルに「リソラ」を採用中だ。こちらの採用理由は、「リソラ」の特徴でもある室内機の本体カラーとパネルカラーが選べるというポイント。天然無垢のウッドを使ったモデルなど室内の雰囲気も大切にするダイレクトカーズならではの着目点だ。特にBR75は今までにないハイラックスをベースにした外観もインパクトのある1台。その室内にあるのが一般的な白ではなく、シックなブラックのエアコンというのもこだわりを感じる。
薄型とおしゃれさでクルマとエアコンのコーディネートを楽しめるのがレクビィの「ソラン」
ペットとの旅にもぴったりな1台として今年大注目だったのが、レクビィの「ソラン」。デビューしたジャパンキャンピングカーショー2023で展示された1台は、ハイエースとは思えないそのポップでおしゃれな外観も目を引いたが、なんと室内には外観の色と合わせてコーディネートされた「リソラ」が設置されていた。
その「ソラン」への「リソラ」採用のきっかけは、ズバリ「薄型で(バンコンの)室内に浸食しない形」と「振動の少なさ」。また、しっかりと断熱が施工されているレクビィのキャンピングカーであれば、ルームエアコンが効率よく動くのもポイントだったそう。10月に開催された横浜キャンピングカーショー2023には、ベース車をハイエースのハイルーフとしたモデルも登場。エアコンの設置場所は変更されているが、採用されているのは同じ「リソラ」だ。
限られた車内空間をより広く使うためだったり、よりモデルのインテリアや雰囲気を大切にするために選ばれ始めた薄型エアコン。新モデルのお披露目も多いジャパンキャンピングカーショー2024もまもなくやってくる。このキャンピングカーへの薄型エアコン搭載の流れ、今後どうなっていくのかしっかり見守っていきたい。