キャンピングカーで「日本列島RVパークの旅」【連載】RVパークLUONTO　by Hibikino 伊香保温泉＋伊草酒店（群馬県）

キャンピングカーや車中泊仕様車でどこに泊まれるのかというと、道の駅や有料道路のパーキングを連想しがち……。でもこれらの場所は、休憩のための仮眠はオッケーでも宿泊できる場所ではありません。そこで利用したいのが、RVパーク。キャンピングカーの製造メーカーやディーラーで構成される日本RV協会が設置を進める「快適で安心して車中泊できるスペース」のことで、入浴施設やトイレ、電源設備などが備わります。実際にオートキャンパー WEB編集部が全国各地のRVパークに実際に泊まってその魅力をお伝えします。なお、2023年5月2日現在、日本全国にRVパークは324カ所ほど存在しています。

万葉集にも記されている歴史ある伊香保温泉近くのパーク

群馬県には赤城山をはじめ、榛名山や妙義山、浅間山など、ハイキングや登山好きにはたまらない山々が存在する。群馬県人は方角を知るために赤城山を見て判断するなんて言葉があるほど、県内のほぼどこからでも見えるのが赤城山。さらに、草津や伊香保以外にも四万や満座、水上に万座など、たくさんの温泉地があることでも有名だ。

そんな群馬県のまん中を縦断するようにあるのが国道17号線。ここは関越自動車道とほぼ平行して作られており、東京都・日本橋～新潟県・中央区を結ぶ幹線国道。江戸時代の中山道（江戸～高崎）と三国街道（高崎～長岡）を継承してできている。

今回紹介するRVパークLUONTO（ルオント）は県のほぼ中央にあり、江戸時代は宿場町としても栄えた現・渋川市にある。パークは伊香保温泉の中心から約1kmと近い好立地。関越自動車道「渋川伊香保IC」から９km(約20分)の距離と好アクセスで、標高634ｍと真夏でも過ごしやすい環境。

温泉・キャンプ場・旅館・酒屋・RVパークのハイブリッド施設

2023年7月、旅館「如心の里ひびき野」の敷地内に「キャンプ＆サウナ　LUONTO（ルオント）」を新たにオープン。既存の「RVパーク伊香保温泉＋伊草酒店」とは近接しているため業務提携により一体運営を行なっている。さらには、ひびき野内にレンタカーもある個性的な複合施設となっている。

ルオントはRVパーク以外にもキャンプ場やカフェのほか、施設内にはサウナやBBQエリアなどがある。また、旅館が併設された複合施設。受け付けはカフェsubakoにて行なう

RVパークは旅館ひびき野側にあるエリア（８台）と伊草酒店側のエリア（３台）を用意。ひびき野側エリアは電源付きの区画は３台用意だが、電源なしであれば最大40台もの利用が可能。電源にこだわらなければ仲間同士やクラブのオフ会などでも利用できる広大なスペースがある。１区画は幅６×長さ13（最大）mを確保し、オーニングや車外でのテーブル・イスの展開ももちろん可能。ペットはパーク内のみリードを付けてのちょっとした散歩はオーケー。本気で遊ばせたいときはパークの目の前にある「ドッグラン・ルビーガーデンハッピーワン」を利用したい。

伊草酒店側の第１エリアは店舗前に駐車スペースを用意。トイレなどは建物に備わる

店内では地酒をはじめ、地ビールやワインなども販売

旅館ひびき野側にあるエリアは大型の駐車場になっており、最大40台まで利用ができる。大型キャンピングカーでの利用はもちろんのこと、オフ会やイベントなども行なえる広々としたサイズ

キャンプ場の方は７つのキャンプサイトと４つのオートキャンプサイトのほか、トレーラーサイトを用意

ルオントは一般的なRVパーク以外にキャンプ場や旅館が併設されているため、キャンプ場にある炊事場やトイレ、シャワーなど以外にも、サウナや温泉、ドッグランなどの利用も可能。食事についても旅館内もしくはキャンプ場内にあるカフェで楽しむこともできる（施設により利用料金が別途必要）。

樽型が特徴のバレルサウナは天然木の心地よい香りのなか、しっかりと発汗して心も身体もリフレッシュ

バレルサウナの利用料金は90分 5500円（2名）で、3名以降1名につき2750円（最大6名）。レンタル浴衣付き。サウナキューブも近日登場予定となっている

屋根付きの炊事場もあり、自炊派にはうれしい設備

パーク内にはダンプステーションもあり、処理がしやすいのも助かる

エアコン付きのトイレルームは季節を問わず快適

そんな複合施設だけに楽しみ方も自由自在。例えば奥さんは旅館で宿泊してくつろいで、子供とお父さんはRVパークに泊まる。食事と温泉だけは旅館を利用する。など、ルオントならではの過ごし方が選べるのがうれしい。

カフェsubakoではできたてアツアツの窯焼きピザがお薦め。写真のまいたけウインナー（1780円）は県産のまいたけがたっぷり入り濃厚で美味！　無添加食材のみを使用したマルゲリータ（1350円）は定番人気。ここでは、群馬県にあるサントリービールの工場で作られた地ビールをはじめ、川場ビールなど、地ビールの販売のほか、キャンプギアのレンタルや販売も行なう

併設の「如心の里ひびき野」の黄金の湯（露天風呂）、白銀の湯（大浴場）をはじめロウリュウサウナや貸切風呂も利用可能。利用料はパークの利用者の場合、大人 1150円～／子供 550円～（利用回数・時間で異なる）

如心の里ひびき野」では事前に予約しておけば、夕食や朝食の利用も可能。地元、上州牛をはじめ獲れたての新鮮野菜など、旬な食材をたっぷり使った会席料理が味わえる。パーク利用者でも温泉だけでなく食事を予約する人が多いとのこと

RVパーク内での焚き火は禁止だが、各キャンプサイトもしくはカフェの前にあるデッキ（写真）では焚き火が可能。デッキは広々としており、テーブルやチェアも備わっているのでゆったりと暖をとりながらくつろげる

周辺の観光・アクティビティ・ショッピングも充実

周辺観光は365段の石段で知られる伊香保の温泉街まで徒歩で約20分（1.3km）。夜の風情ある温泉街を散策してみるのもいい。ほかにも、上毛三山（赤城山・榛名山・妙義山）のひとつ、榛名山まではパークから約12km。マンガ「頭文字Ｄ」の聖地とも知られており、道中の峠道はキャンピングカーには少し注意が必要だが山頂には榛名湖や榛名ロープウェイなど風光明媚な景色が楽しめる。ここ榛名山は初級者からでも楽しめるハイキングコースがあるので身体を動かしたい人や登山初心者でも安心。また、榛名湖でのカヌーツアーも人気で、１～1.5時間のツアーでは湖上でのんびりとした時間が過ごせる。このツアーもパークで予約が可能。

伊香保温泉といえばこの石段。伊香保ロープウェイに乗ったり温泉街を散策したりと日中でも夜でも楽しめる

伊草酒店の姉妹店が石段の177段目にある「ストロベリーボム」。地元のいちごと牛乳でつくる”いちごミルク”専門店で休憩するのもオススメ

35ものカーブを抜けて榛名山山頂まで。昭和33年に営業を開始した歴史ある榛名山ロープウェイに乗れば標高1391mの山頂から関東平野や上州の山々が一望でき、冬の好天の日は富士山も見ることができる

榛名湖は湖上のカヌーツアーが人気。予約はパークで行なえるほか、フィールグッドカヌーツアーズ（https://fgcanoe.com/）から可能

ほかにも榛名神社や水澤観世音といったパワースポット巡りなど、温泉だけではなく周辺にも多くの魅力的なスポットやアクティビティがそろっている。

1400年以上の歴史を誇る「榛名神社」は、火の神と土の神を祀り、開運や五穀豊穣、商売繁盛のご利益があると言われている。独特な奇岩に囲まれた境内は神聖な空気が漂うパワースポットとして人気

水澤観世音の境内の中心にある本堂は、本尊十一面千手観世音菩薩を安置。また、六角二重塔（開運六地蔵）は、元禄時代に建立された県指定重要文化財。安産や子育て・金運にご利益があると言われている。また、周辺には名物「水沢うどん」の店が軒を連ねているのでこちらも要チェック

ショッピングはルオントの売店もしくは旅館の売店が利用可能。コンビニならファミリーマート伊香保店まで650m。スーパーは地元食材が豊富にそろう食の駅・伊香保店（600m）がお薦め。

●パークの近くにある食の駅伊香保店では、新鮮な地元食材のほかにもお土産なども販売

トイレや炊事場までは小さな坂を上り2分程度。夜間も静かで穏やか、パークの街灯も気になることはなく安心して休める

実際に利用してみると、ここルオントは旅の拠点としてだけではなく旅の目的地として選ぶだけの魅力があると実感。温泉・遊び・食事と３拍子がそろった、まさにハイブリッドなRVパーク。過ごし方も自由自在で、ぜひともまた利用してみたいと感じたのだった。